ミニステレオフォンMIDIがMIDI協会推奨(正式)規格になっていまして

一時期各社から出たiOS向けMIDIインタフェースで多く採用され、我々にはKORG electribeやSQ-1等でお馴染みのミニステレオフォン端子(φ3.5mm/TRS)を使ったMIDI端子。SYNTHTOPIAの記事にもありましたが、MIDI統括団体 “MIDI Manufacturers Association” (以下MIDI協会,北米その他を統括;なお日本国内の統括団体は音楽電子事業協会,AMEI)により規格化されていました。

TRS-Phone MIDI Spec
midi.org: Specification for TRS Adapters Adopted and Released

具体的にはMIDI協会の発表記事 “Specification for TRS Adapters Adopted and Released” で、結線図も紹介されていました。本仕様の分類としては Recommend Practice(推奨応用事例)というそうですが、規格書の補完・補足が目的のようですので、正式な規格を構成する要素、ということでよさそうです。

また、PDFで2ページの規格書もユーザー登録の上でダウンロードできました。AMEIと連名の文書になっていて、和訳はされていませんが、AMEIのRP/CAページにも置いてありました。PDFのダウンロードだけなら無料ですね(参考記事:PC Watch)。なお、以前にelectribe用変換コネクタの結線を記事にしましたが、それと同一の結線になっています(DINのピン番号の振り方が異なるのは多分私の手違い)。

PDFには変換コネクタの結線図も載っています。図の掲載は避けますが、作ってみたい場合はダウンロードして確認してみてください。変換ケーブルの長さは2mまでとか、オーディオ用シールドケーブルは通信用より対線ではないので不可ともあります。

KORG SQ-1 発表

艦これ第3話で何かあったらしく、まだ録画観てないのでTLを追ってない私が螢屋です。NAMM 2015でKORGよりSQ-1, MS-20M Kit, KAOSS DJ, kaossilatro 2S, ARP ODYSSEYなどが発表されました。差し当たってELECTRIBE Life的に最も影響の大きいSQ-1についてこの記事で書きます。

KORG SQ-1

SQ-1はvolca的なインタフェースと可搬性を持つステップシーケンサー。volca的、というのは見た目の印象だけでなく、ユーザインタフェース(ツマミやボタンやランプなどのユーザが操作したりユーザへ伝えたりする部分)と、コネクションインタフェース(接続端子)にも及びます。また機能もシンプルなので、ステップシーケンサーというものを知っている、使ったことがあるならば、パネルを見ただけで使えるでしょう。またステップシーケンサーの経験がなくとも、volcaが使えるほどの人なら、ボタンで8分音符のオン/オフ、ツマミで音程、これの1小節分が2系統あると分かれば、触ってすぐ理解できるでしょう。

基本スペック的な所で言うと、8ステップがA/Bの2系統。シーケンスモードが通常の巡航の他に往復やランダム、A/Bを組み合わせて16ステップとして使用できる他、B系統でDUTY(たぶんゲートの開閉率、どんくらいスタッカートかレガートか)やSLIDE(ポルタメント)の指定も出来るようです。またボタンモードの切替表示にはGATE ON/OFFの他にmonotribe/volcaでお馴染みACTIVE STEP, STEP JUMPの他にSLIDEの選択肢があり、単にノート間をポルタメントで繋ぐかどうかの指定だけなら、B系統をSLIDE用に消費しなくてもこちらで出来る模様。

他、パネルに書かれていないものもありますが、FUNCTIONキーの併用などでCVのV/OCTとHz/V、GATEの極性なども切替可能。音程はツマミの位置のままアナログ的に出る他、半音単位や長調、短調での出力が可能(ということはキー指定の項目もあるはず)。またvolca keys同様、テンポクロックに対して1ステップを16分音符の他、8分音符、4分音符にもできます。

MS-20当時に併売されていたSQ-10に範をとったとはいえ、半音階、長音階、短音階の指定が可能だったり、USBやMIDI端子(electribeに続いてmini-streoジャック形式)があるのは現代に合わせた仕様。USBはMIDI(たぶんテンポクロックの入出力とノートの出力)に、外部電源入力も兼ねていて、その辺の適当なUSB電源が使え、いちいちACアダプタを買う必要もありません。音質に直接関わる製品ではないのでたぶんそうしたのでしょう(USB電源はものによってノイズの出方がかなり激しい)。もちろん電池駆動も可能ですが、volcaと違って単3が2本だけです。

盲点だったのがlittleBits用の出力。littleBitsにも4ステップのシーケンサーがありましたが、さすがに4ステップではリフっぽくしにくかったのでこれは納得。なお、monotribe/volca伝統のSYNC端子もIN/OUTそれぞれあります。

KORG SQ-1 panel

まあ、スペック的な所は公式のSQ-1ページなり他のサイトを読んでいただくとして、まずMS-20(オリジナル,mini,Kit)やその他CV/Gate入力のあるシンセを持っていて、テクノはじめダンスミュージックをやっているなら、そしてまだステップシーケンサーを使ったことがないなら、お勧めできると思います(強くお勧めできるかどうかは実機触ってからにします)。一方使ったことがある程の人ならば、まあ買うかどうかは自分の経験(または心)に聞けば分かるでしょう。逆に、モジュラーシンセ使いの方々はステップシーケンサーの1台や2台は所有済みでしょうから、むしろどうやって自分や周囲に言い訳して購入に踏み切るのか、ちょっと興味があります(買う前提かよ!)。ちなみに同時発表の「MS-20M Kit + SQ-1」では、名前の通りMS-20系のモジュールにSQ-1がセットで販売されます。

monotribeやvolca bass/keysのユーザの場合、すでにシーケンサーが入っているので機能としてかぶっている部分が大きいのですが、keysのリアルタイム入力が苦手とか、bassのステップ入力に馴染めないといった場合は、検討に値すると思います。また、ACTIVE STEPやSTEP JUMP的な機能は、DAWではなかなか無い(AUDIOやINSTプラグインでルーパー的にやってくれるものはあったと思いますがMIDIイベントでは見かけた覚えがない)ので、普段ソフトウェアで作曲しているけどなんか出てくるフレーズがマンネリだなあ、という向きにもいいかもしれません。

SQ-1にはアナログ部分がなく(厳密にはCV出力部分がアナログではありますが、たぶんSoCチップ内蔵のD/Aコンバータ出力からほぼ直結でしょう)、コストはほぼSoCが1チップであとはスイッチとエンコーダ(ツマミ)とLEDとジャックと筐体でしょうから、volcaよりも安い価格で出ると見込んでいます。と思ったらいっかいさんとこの記事では「¥10.000前後」となってますね。発売時期は公式ページに出ていて2015年1月下旬予定、もうすぐです。

[追記] イシバシ楽器さんの速報で税込10,800円で1月28日と出ました。