iPolysix公式デモソングにTuKuRuさんが登場

今回もiPolysixの話ですが目下の作業はM01であるところの私が螢屋です。大晦日には果たしてどうなっていることであろう。というわけでKORG iPolysix公式デモソングに2曲追加がありました。ひとつはDS-10/M01界隈でお馴染みのTuKuRu氏によるもの、もう一つはKORGアメリカ法人によるものです。本稿ではTuKuRuさんのデモ、 “Eternal Challenger” をご紹介します。

soundcloud:

YouTube:

彼が折にふれて発表してきた、如何にも日本のフュージョンという感じの仕上がりです。明快で印象的なメロとサウンドが頭に残ります。ちょっと鍵[*]っぽい気もしますが、あの辺の世代のゲームミュージックはしばしば80年代のTHE SQUAREやCASIOPEAに影響されているので、どっちにしてもまあルーツは同じですね。そうそう、ニコニコ方面的にはTHE SQUAREのF1の曲のカバーと同じ人がやってる、という説明のほうが通りいいかも知れません。

さて、興味深いことに、主旋律の音程ずり上げ/ずり下げ部分の方法が、soundcloud版ではグリッサンド(音程が段階的・階段上に変化していく)で、YouTube版ではピッチベンド(音程が滑らかに変化)と、それぞれ異なっています。YouTube版は映像の通り、外部キーボードの手弾きでピッチベンドホイールを操作しているのが分かりますが、soundcloud版はどうなっているのか。

アプリ内で実際の打ち込みソングデータ(soundcloud版に相当)をREMIXボタンで取得してみると、シーケンスの最小音符が通常16分音符であるところ、BPMを倍にして32分音符相当にしています。これは16音符単位でグリッサンドさせると粗すぎるからですね。まあそんなことしなくても「ピッチベンドをシーケンスに記録させればええやん」てなもんですが、どうも、ツマミ類はオートメーション(ツマミを弄った動きをシーケンスに記録・編集)できるのに、ホイール類はできないようなんですねー。丁度僕もピッチベンド前提で作ってた曲があるんですが実際これが要因で同じくBPM倍で処理しようとして面倒くさくなって中断してます。KORGさんなんとかしてー。

[追記] もしかしてVCOのEG INTをオートメーションすればいいのか…?
[追記] とりあえずしゃくり上げ下げ的なフレーズで試したらこれ↑でいけた
[追記] コイシさんから教えてもらって出来ました!:


   どうもちゃうとこ触ってたみたいやな…。

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[*]鍵: ゲームブランド「KEY」の俗語。90年代末の同人シーンを同じく「LEAF」と共に席巻、両社併せて葉鍵、とも。今でこそM3の出展サークルはオリジナル楽曲をメインに据えているが普通だが、当時はゲーム系のカバー、特に葉鍵系のカバーが非常に多かった。また、コミケの勢力比で言うと、丁度いまの東方系くらいあった。

KORG iPolysixの登場とKORG iOSアプリ年末セール

そもそも同時期に似たテイストの外観で KORG Mono/Poly てのが在ってだな…といった話はさておいて私が螢屋です。記事起こすのがすっかり遅くなりましたが先週、iPad用アプリ “KORG iPolysix” が登場しました。現在、発売記念価格で税込1,300円。

iPolysix

元となったPolysixは、アナログシンセ6ボイス分をデジタル制御する、当時最先端の楽器でした。歌謡曲(当時J-POPという言葉は無かった)なんかにも使われていた気がします。で今回のiPolysixはどうかというと、これまでの一連のKORG iOSアプリの出来の良さからも想像できるでしょう。サウンドのキャラクターは当然元のPolysixに基づいているのでこれまでと違うのもまた当然、この辺はデモを聞いてもらうなり実際にアプリに触れるなりしてみてください。根本的な思想/仕様は受け継がれていて、例えばWISTやsoundcloudなんかにも対応していますし、エフェクタ付き、シーケンサはパターンを組んでソングに並べる方式。一方でユーザインタフェースが整理、変更されていて、パターンシーケンスはiMS-20での「ツマミで音程(音階)を表す」方式から、「ボタンがマトリックス状に並んでいるけど事実上ピアノロール」方式になっています(これが一番ありがたい変更だったわー)。

早速一曲作ってみました。iPolysix内からはsoundcloud経由のREMIXボタンでソングデータ取得できるように許可してありますんで、どういう作り方してるのか興味ある方はそちらもどうぞ。


公式のデモソング
にはヨナオケイシ氏、iNALOG(DS-10 Dominator)氏、koishistyle氏も参加されてますので、未聴の方はぜひ。

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それとKORGはiOSアプリ群を50%オフセールしてます。年末、2012年12月31日まで。iPad持ってない場合でも、iKaossilatorなんかはiPhone/iPod touchで動く(あんま古いモデルはダメです)ので、試してみるのもいいんじゃないかと。

iKaossilator UNICORNをざっくりと

前記事で呼ばれて飛び出ました私が螢屋です。というわけでユニコーン化されたiKaossilatorについて。ただしユニコーン化といってもカンダムは無関係ですよ(今これ書いてるGoogle日本語入力へのツッコミ)。

iKaossilator UNICORN
【追記】ライセンス契約の終了により、新規購入や再ダウンロードはすでにできなくなっています。

まず最初に前提として、このアプリは楽器ではなくリミックスツールで、アーティストのファンに向けたグッズです。今回はユニコーンの楽曲から2曲を、2小節〜4小節程度、メンバーの5名に応じて5パートに分けた形のループとして収録されていています。ループの入れ替えや追加はできませんし、外部への録音・書き出しなどもありません。ここの辺りは押さえとかないと後でムキーとなります。

iKaossilator UNICORN

全体的な出来としては、本来のiKaossilatorから更に機能を絞り込んでホントの素人でも迷いなく遊べるよう配慮しつつ、触った時の反応とかの心地良さを発揮しています。手触り(タッチに対する音と光のフィードバック感覚)の良さは、さすがに楽器アプリの作り込みに慣れた開発陣の経験値を感じさせます。この辺りは大手ゲーム会社のアプリからも受ける感覚ですね。スマートフォンアプリの開発、特にコンシューマ向けの開発、それとそれらを発注して実際に売る側のひとはひとつの指標として念頭に置いておくべし。誕生秘話によると、デザインはアーティストサイドの役割が大きかったようです。

機能絞込みの話で言うと、パートミュートはパートを担当するメンバーのアイコンを触るだけでON/OFFできるようになっていますが、オリジナルではソロとの使い分けの都合上アイコンのフリックになっていました。また、録音ボタンはありますが、トラックがイベントベースのもの一つだけなので、楽器を一つ録音した後に別の楽器を録音しようと他の楽器に切り替えると、既に録音したフレーズが切り替え先の楽器で鳴ります。その他諸々、アプリをよりシンプルに修正していくのにだいぶ労力掛けてるみたいで、これも誕生秘話に目を通しておくことをおすすめします。

iKaossilator UNICORN

なお、ちょっと気づくのが遅れたのがループの切り替え方法。メンバーの横列の左、(>)アイコンのタップで、オリジナルのiKaossilatorのループセレクタと同様の切り替え領域が出現します。これとミュートのON/OFFで基本的な展開を作って、楽器ボタンとパッドで茶々入れするってのが、他人に見せて効果的な(つまりカッコつけやすい)やり方かなー。

まとめとしては、

・ユニコーン好きな人に僕から言うことは無いっす。存分にお楽しみを。
・楽器/機材アプリではないのでそこ間違えるとめんどくさいことに。
・iKaossilator使ってる人で「物事の割り切り方」を知りたい人にもおすすめ。

なんか分かんない事あったら、今日(2012/11/3)の芋煮会にたぶん居るので直接聞いてもらってもいいすよ。僕も分かんないって一緒に悩みます。

ユニコーン の楽曲が使えるiKaossilatorが発売


近頃なにかとコラボを実現させ「ひょっとしてこれは節奏がないのでは?」と思わせるKORGがユニコーンと組みました。今回のコラボ商品はKaossilator。あ、iの方です。iKaossilatorの方です。

 「iKaossilator Unicorn」はご存じiPhone/iPadで遊ぶシンセサイザーアプリ「iKaossilator」に、ユニコーンの新曲のリミックスから厳選したループを入れたもの。奥田さんの声をシンセにしていたりするのでしょうか。気になります(相変わらずiPhone持っていないので未確認です。助けて!螢屋さん!)

 あわせて、通常版「iKaossilator」も50% offの750円になっています。「これで曲を作れます」とは言いませんが、音で遊ぶ、まさに「音楽」という様なアプリなのでおすすめです。これを機会に手に入れてみてはいかがでしょうか。

「iKaossilator Unicorn」は450円で発売中です。あれっ、通常版より安い!?

monotribeにUSB-MIDIを内蔵させてみた

そういやもしかしたら世界初かもしれないmonotribeにUSB-MIDIを内蔵させた私が螢屋です。過日Dee-Cie Freaks Vol.3でデビューしたmonotribe with USBですが、ちゃんとした解説を書こうとすると結構時間掛かるのでざっとまとめときます。この手の工作に慣れた人なら「これで改造できるぜ!」という程度の情報量はあると思います。

■ 概略

  • monotribeにUSB-MIDIを内蔵。これまでよく見られたMIDI改造では5Pin-DINの(本来の)MIDIコネクタを付けるというものだったが、本件ではUSBのmini-Bコネクタとした。
  • USB-MIDIクラスドライバで動作し、Mac(とたぶんWindows)ではドライバインストール不要、iPadではカメラコネクションキット直結(セルフパワードハブ無し)で動作。
  • 開発作業を低減。USB-シリアル変換のハードウェアには市販のATMega 32u4ボードをそのまま使用。同ソフトウェアにはMoco for LUFAをインストール、自前でのソフトウェア開発をゼロに。
  • 工作作業量を低減。USB mini-Bコネクタは筐体のプラスチック製の底蓋に取り付け、これまでのMIDI改造で最大の難関であったMIDIコネクタの取り付けに伴う肉厚アルミケースの穴あけを不要に。

■ mini-B USBコネクタ
元からある端子類の下、プラスチックの裏蓋部分に穴を開けてそこにUSBの端子を出した。

monotribe with USB: mini-B USB connector bottom of monotribe

■ USB-MIDI変換
□ ATMega 32u4 ボード:
Strawberry Linux 「ダ・ヴィンチ32U
Arduinoブートローダ版ではない通常版。USBから相互変換されたMIDIイベントはPD2がRX、PD3がTXに、5VのTTLシリアルでやり取りされる。DFUでファームウェアを書き込むため。ISP経由で書ける環境があるならDFUでなくてもよい。更に言えば、Moco for LUFAが動けばいいので他の32u4ボードでもよい。
□ ロジックレベルコンバータ:
Sparkfun「ロジックレベルコンバータ
写真の基板の小さいほうが5Vロジック-3.3Vロジックの相互変換ボード。32u4側がUSB電源で5V動作、monotribeコントローラ側は3.3V動作なのでこれを間に入れる。回路は簡単なので自分で組んでもいいが、それほど高くなかったので作業量を減らすべく採用。

monotribe with USB: ATMega 32u4 and Voltage Converter

■ 取り付け
ざっくり現物合わせでかなり適当。穴あけはダ・ヴィンチ32UのUSBコネクタの出る部分のみ。固定は今のところスポンジと両面テープ。固定が甘いとUSBケーブル接続時にボードごと奥へ入ってしまうので注意。

monotribe with USB: inside of bottom case

■ おまけ: ミキシング機能付きヘッドホンアンプ
入れ替わりの多いクラブ系の現場でサブミキサーが場所取って困るので作成。あとDSのヘッドホン出力が(おそらく子ども向け聴力保護が理由で)低めでゲイン不足になるのでそれを少しは補う意図も(まだ現場では試してない)。

monotribe with USB: appendix - micro mixer for monotribe and battery operated instruments.

■ 謝辞
この改造は、Moco for LUFAの存在を知って思い立ち、また実現可能となったものです。morecat labのYoshitaka Kuwata氏に感謝いたします。